バイアス

<世界陸上>日本不調、力通りとも言えるが国内開催で重圧も
 日本勢が波に乗れない。男子ハンマー投げ室伏広治(ミズノ)は入賞どまり。男子二百メートルの末続慎吾(ミズノ)は2次予選、男子四百メートル障害の為末大(APF)、女子走り幅跳び池田久美子(スズキ)、男子走り高跳び醍醐直幸富士通)は予選で敗れた。
 力通りの結果とも言える。競技を終えた選手の、大会開幕時点での今年の世界ランキング(今大会不出場者を含む)は、最高で末続の9位。室伏、為末、醍醐は10位台、池田は20位台だった。期待の背景には「自己記録並みの結果が出せれば」という前提があるもの。絶好調でなくても確実に上位を争うだけの強さは、まだ備わっていないのが現実だ。
 不調のまま大会を迎えた為末のように、調整力にも課題が残った。為末が「期待されている以上、不調でも『メダルを狙う』と言わねばならないのはきつかった」と明かしたように、地元の代表としての重圧も練習や調整に響いたようだ。
 末続や醍醐のけいれん、男子四百メートルの金丸祐三(法大)の肉離れなど競技中の異変も多い。高野進監督は「チームとして調整に問題があったと考えねばならない。できる限りの対応をしてベストを尽くす」と、原因解明と対策を急ぐ意向だ。
 目立たないが力を発揮した選手もいる。男子百メートルでは朝原宣治大阪ガス)が準決勝に進み、塚原直貴東海大)も自己記録を更新。女子四百メートルの丹野麻美(福島大)、男子千五百メートルの小林史和(NTN)も準決勝に進む健闘を見せた。この後、男子棒高跳び澤野大地(ニシ・スポーツ)や女子マラソン勢が控える。最高の戦いを望みたい。【石井朗生】

不調」という言葉は、普段通りの実力が出せていないときに使うものだろう。「自己記録並みの結果が出せれば」という前提など、ご都合主義も甚だしい話である。いかなる実力者でも好不調の波は存在するものだし、本番にきっちり好調の波を合わせてこれるかは運の要素も絡む。
むしろ普段の実力以上の結果を求められても、過度のプレッシャーにより思うような結果を出せないことは往々にして少なくない。無責任に煽るだけ煽るマスコミ、そしてメディアバイアスというものに、鋭く切り込んだ良記事だと思う。

・・・あえて上の引用では削ったが、これはアノ毎日新聞の記事なんだよね。やればできるじゃんというか、記者個人の資質に負うところが大きいのだろうけれど、ぜひとも医療分野でもこの記事のようなバランス感覚に富む記事をお願いしたいものだ。