どの口が言うか

http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20070410k0000e040069000c.html

まあ、「6時間放置」「たらい回し」でっち上げで奈良県南部の産科医療を崩壊させた毎日新聞がこんな記事を書くようになったとは隔世の感があります。
…と、つまらん茶々はおいといて。

個人的な結論は、素直に「手遅れ」です。
この国では医師は無私の精神で患者に尽くすべきものという社会通念ができ上がっていて、例外はあれどほぼその通りに医師はふるまってきた。
確かに奉仕の精神なくして勤まる仕事ではないけれど、もう精神論だけでは無理になってきた。その結果が、今明らかになりつつある医療崩壊なわけで。

ちなみに「夜勤当直を除く1週間の勤務時間」というのもどうよ?勤務医を平均すれば恐らく月に2〜4回ぐらいは当直しているのでは。暇な寝当直からほぼ徹夜というハードなものもあるけれど、あれも立派な勤務時間。
まあこのあたりは、「社団法人日本病院会の調査」、つまり雇う側の調査ってところがミソみたい。労基法違反で責任を問われるのは病院だから。
またアンケートに答える暇がない医師のことも考慮すべきであるし、「たった48時間 」と受け取られかねない記事内容には疑問を感じる。

ちなみに、普通に外来患者を診なければならない当直は、厚労省の通達に従えば「違法」だったよね。物議をかもしている「看護師内診」と一緒。


勤務医:7割が週48時間以上労働 病院会調査で明らかに
 全国で働く勤務医の7割以上は、夜勤当直を除く1週間の勤務時間が、法定の40時間を大幅に超えて48時間以上に達していることが10日、社団法人日本病院会の調査で明らかになった。医療過誤の原因として「過労」と答えた医師も7割に上っている。過労によるうつ病で自殺した小児科医(当時44歳)について先月、東京地裁で労災適用を認める判決が出たが、医療現場で広く同様の過酷な勤務実態があることを裏付ける内容。厚生労働省医師不足への本格的な対策を迫られている。

 調査は昨年7月、全国2535病院を対象に行い、5635人の勤務医から回答を得た。結果は10日夕、厚労省の「地域医療支援中央会議」で報告される。

 1週間の勤務時間を聞いたところ、「48〜56時間未満」が26.1%(1469人)で最も多く、▽64時間以上=23.2%(1307人)▽56〜64時間未満=20.8%(1173人)と続く。週48時間以上働いている勤務医は計70.1%に達する一方、法定の「40時間未満」は4.1%(229人)にとどまっている。

 「夜間当直をする」と答えたのは71.6%(4034人)。月の夜勤当直回数は、▽3〜4回=40.8%(1645人)▽5回以上=17.1%(688人)で、「2回以内」は41.9%(1692人)だった。また、宿直勤務をした医師の88.7%が、「忙しさと無関係に翌日も通常勤務せざるを得ない」と答えた。勤務時間、当直回数は、年齢や病院の規模による差はなかった。

 医療過誤の原因(複数回答可)については、「過剰勤務のために慢性的に疲労している」を挙げた人が71.3%(4015人)を占めた。医師不足の要因(同)についても、「過酷な労働環境」と答えた人が61.0%(3435人)で最も多かった。【坂口裕彦】