犬死

以前の日記でも書いた話題です。
(ちなみに厚労省は、労災認定の控訴は断念したそうです。御協力頂いた方ありがとうございました。)

今回のニュースは、遺族が損害賠償を求めた民事訴訟の話です。
テレビ朝日オンザウェブの別ソースを貼ってみます。

医師自殺は過労死と言えない…遺族の訴え退ける判決
http://www.tv-asahi.co.jp/ann/news/web/index9.html?now=20070329181919

 自殺を労災と認定された小児科医の妻が病院側に賠償を求めた別の裁判で、東京地裁は一転、過労とは言えないとして、訴えを退ける判決を言い渡しました。

 小児科医の中原利郎さん(当時44)は1999年、勤務していた病院の屋上から飛び降り、自殺しました。遺族は月8回もの当直など過酷な勤務を放置した責任があるとして、病院側に総額2億円あまりの賠償を求めていました。判決で、東京地裁は「空き時間に横になれば、体を休めることはできた。過労にはあたらず、自殺と業務との因果関係は認められない」として、訴えを退けました。この問題では14日、東京地裁の別の裁判長が、小児科医の自殺では初めて労災と認める判決を言い渡し、29日に確定しています。
・・
・・・
元々の勤務がどう贔屓目に見ても労働基準法なんて軽く無視している上に、「空き時間に横になれば、体を休めることはできた」というコメント。

空き時間に横になれば、体を休めることはできた
空き時間に横になれば、体を休めることはできた

1人診れば、1時間ぐらい時間を取られることもめずらしくありません。7時間寝るはずのところが2人も診れば5時間。例えば一晩に5人の来院なんてごく少ない部類ですが、それでも1時間おきに来ればどうなるか?
それでも「空き時間に横になれば、体を休めることはできた」と言われてしまいます。

「後はどうなっても、死ぬ前に逃げろ。死んだら自分の責任。病院は責任を取らないから。」
というのに等しいです。

…命を削るのって、バカバカしいですね。
「目の前の患者さんを見捨てられない」との思いで頑張ってもこういう判決となってしまうのでは、文字通り逃げるしかありません。
(幸い私の労働環境は、これに比べれば全く優雅なものですが)

この国では、医師が死んでも犬死です。
死んではいけない。