二人二脚

http://kyushu.yomiuri.co.jp/news/ne_07032702.htm
子宮がん死は病院に過失、福岡地裁が3850万円賠償命令
 子宮がんで死亡した福岡市の女性(当時29歳)の夫と男児が「病院は適切な検査を怠った」として、医療法人愛育会「西新渡辺産婦人科クリニック」(福岡市早良区)と担当医師だった同会理事長に7850万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が26日、福岡地裁であった。野尻純夫裁判長は「適切な治療が行われていれば救命の可能性はあった」として、クリニックに約3850万円の支払いを命じた。

 判決によると、女性は1999年5月、妊娠後に出血したため同クリニックを受診、切迫流産と診断された。同12月に帝王切開男児を出産後も出血が続いたが、がんとは診断されなかった。2000年6月、別の病院で子宮頸(けい)がんと診断され、同8月、死亡した。

 判決では「99年5月に細胞診などの検診を実施すべきだった」とクリニックの過失を認定。一方、女性は過去に子宮頸がんの手術を受けたことを伝えておらず、野尻裁判長は「女性には情報提供を怠った過失がある」として減額した。

 医療法人愛育会理事長の話「判決文を読んでいないのでコメントは控えたい」

専門外ではあるが、妊娠中の女性の不正出血から子宮頚癌をまず疑えというのはちょっと無理がないだろうか。もちろん鑑別から完全に外してよいというものでもなかろうが、少なくとも頚癌の既往歴があるのとないのでは疑う度合いにも雲泥の差がある。
医療というのは基本的には患者側の協力があってはじめて成立するもの。既往歴や服用している薬を正しく伝えなければ、容易に命に関わる事態に陥ることがある。この件において、正しく既往歴を伝えなかったことは結果として”緩やかな自殺”となったと言えるかもしれない。
患者側の「ただ一言」があれば助かったかもしれない命。救命の可能性はともかくとしても、診断の遅れについてはほとんどが患者側の責任だと思うのだが。かくて産科医の逃散はますます進む。