■帝王切開賠償訴訟、市に1億4300万円支払い命令(読売新聞 - 02月28日 23:11)

http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20070301ik02.htm


 神奈川県大和市立病院で1997年、帝王切開が遅れたため重い後遺症が残ったとして、東京都内の養護学校4年の男子児童(10)と両親が、市に介護費用や慰謝料など約1億9200万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が28日、横浜地裁であった。

 三木勇次裁判長は「(帝王切開は)遅きに失し、後遺症との因果関係が認められる」と述べ、市に約1億4300万円の支払いを命じた。

 判決によると、男児の母親(35)は97年2月24日、陣痛が起きて入院した。胎児に心拍数の低下などの異常があったことから、病院は帝王切開を決めたが、手術決定から出産まで約1時間20分かかり、男児は仮死状態で生まれて低酸素脳症となり、四肢がマヒする重度の障害が残った。

 三木裁判長は「心拍数が低下した時点で、病院は帝王切開の準備をする義務があったが、怠った。夜間、麻酔科医らが常駐しておらず、医師を呼び出すなど出産まで1時間以上かかった」と指摘した。

 大宮東生・院長は記者会見で、「可能な限り適切な処置を行っており、過失はない。後遺症との因果関係もない」と話し、市として控訴する方針を明らかにした。

(2007年3月1日 読売新聞)


今回のJBM:「麻酔科医の常駐しない施設ではお産を扱ってはならない

手術決定から娩出まで1時間20分…決して遅くはなく普通でしょう。
また帝王切開になるか否かについても、必ずしも前もって分かるわけではありません。
これより早くということであれば、麻酔科医が常駐しておく必要があります。
でも「夜間、麻酔科医らが常駐しておらず、医師を呼び出すなど出産まで1時間以上かかった」
言われましても、麻酔科医より分娩施設の数の方が多いんですが。


また判決に「心拍数が低下した時点で、病院は帝王切開の準備をする義務があったが、怠った。」とありますが
同じ記事内に「胎児に心拍数の低下などの異常があったことから、病院は帝王切開を決めた」とあります。
新聞記事から判断する限りにおいては、何が落ち度とされたのかは判然としません。


民事と刑事の違いこそあれ、判決内容の不当性としては大野事件に匹敵するものではないでしょうか。